ミード(蜂蜜酒)とは?

ミードとは?

ミード(Mead)とは、「蜂蜜酒」のこと。読んで字のごとく、蜂蜜から作ったお酒です。しかし、この説明をしても「何のお酒に蜂蜜を入れたのですか?」とよく誤解されてしまいます。
“Mead”だけでは単語を知らない限り何のことか通じないので、親切に”Honey Wine”と書くことも多いことも裏目に出ているのでしょう。

ミードとは、より正確に言えば「蜂蜜を発酵させて作るお酒」のことです。

なお、ウイスキーに蜂蜜を入れたお酒などは、蜂蜜味のお酒であっても「蜂蜜を発酵させたお酒」ではないためミードには区分されません。

ミードの種類

材料の種別

厳密には、ミードは「蜂蜜を水で割って、発酵させたお酒」になります。純粋なものは蜂蜜以外の原材料がありません。
ただし、果汁と混ぜてから発酵させたり、ハーブやスパイスを溶かし込んだりしたバリエーションも存在します。そして、そのバリエーションごとに呼び名があります。

  • ミード(Mead):蜂蜜と水だけ
  • メロメル(Melomel):果汁を混ぜて発酵させる
  • メセグリン(Metheglin):ハーブやスパイスを混ぜる

通常は、上記3つともまとめて「蜂蜜を発酵させて作るお酒」としてミードと呼んでいます。
※余談ながら、メロメルには混ぜる果汁によって細かい名前が分かれます。すごーく細かく…

作り方の種別

「ミード」であることは変わらないのですが、作り方にもいくつかのバリエーションがあります。

  • 樽で熟成する
  • 蜂蜜と果汁を混ぜてから発酵させる(メロメル)
  • ミードに果物を漬け込んでフレーバーをつける(果実酒のようなイメージ)
  • 発泡させる(シャンパンのように炭酸の強いものから、微発泡まで様々)

ミードの楽しみ方

保存方法

透き通ったタイプのもの

真夏の30度超えはさすがにあまりよろしくないですが、基本的には買ってから開栓前であれば室温でも保存できます。(ただし、一部例外もありますし、冷蔵庫やワインセラーのように冷涼で温度の安定したところが良いのは言うまでもありません。)

開栓後もワインに比べるとずっと長持ちしますので、1日1杯ずつ楽しむような飲み方も可能です。ただし、開栓後はできれば冷蔵庫で保存してください。

熟成タイプなどの濃厚なもの

かなり安定していますので、室温保存で大丈夫です。開栓後も室温で長持ちします。

スパークリング

これは通常のスパークリングワイン同様、冷蔵庫で保存し、開けたら早めに飲みきってください。

飲み方

日本で入手可能なものを念頭に置いた場合、その殆どは冷やしてストレートがお勧めです。温度やグラスも甘口の白ワインと同じような扱いで大丈夫です。
ただし、一部の熟成タイプについては、冷やすよりは常温程度のほうが飲みやすいです。

冬はお湯割りやホットワインセットを使って温かくして飲むのもお勧めです。(ミードそのものを温めるのは手間でしょうから、濃いめのものをお湯割りにするのがお手軽です。)

ワインであれば●℃くらいで…といったもっと精密な解説がされることが多いですが、ミードの場合は上の種別で説明した通りバリエーションがかなり広く、特にメロメルは温度によって変わる味わいを楽しんでもらうこともできます。あまり難しく考えず、「冷蔵庫に入れて冷やし、飲む少し前に出しておいたくらい」で試すのが良いでしょう。

スパークリングや一部の特殊な部類を除けば、開栓後も数日かけて飲んで大丈夫です。ワインのように急速に味が変わるような変化は起こりませんので、1本を一度に飲みきることができない方でも、毎日少しずつ楽しんでいただくことができます。

おつまみ

定番では、チーズやナッツ、クラッカーなど、いわゆる白ワインのおつまみがそのまま流用できます。
料理と合わせたい場合は、ミードの甘みに対抗してスパイスの効いたフレンチ、酸味(バルサミコや柑橘)の効いたイタリアンなどが合いやすいです。

中華、和食については相性の良し悪しが極端に出てしまうため、あまりお勧めしていません。

トリビア

世界最古の醸造酒

蜂蜜と水、そして酵母という自然界に存在するものだけで作れるため、ミードの起源ははっきりしていません。いわゆる「猿酒」と同様、人間がいなくてもできてしまうため世界最古の醸造酒と言われています。
たとえタイムマシンができたとしても本当の最初がどこなのかを調べるのは大変でしょうね…。

歴史の古さもあり、アフリカ、ヨーロッパ、ロシア、北米、オセアニアなど、世界の広範囲で作られています。

(日本では)マイナーな酒

日本において、ミードは非常にマイナーなお酒です。過去ほとんど流通したことがないため、お酒のプロの方であっても存在しか知らない、ということが多いです。一般消費者の間では知っている人を探すほうが難しく、注文もされないお酒は誰も売らない、ということで入手困難な品です。

ただ、エチオピア周辺ではテッジという「どぶろく蜂蜜酒」が非常にポピュラーですし、東欧でも一定の市民権を得ています。特に2015年ころからはアメリカで小さなミーダリー(ミード醸造所)が非常に増え、新しいスタイルのミードが爆発的に増えています。
残念ながらアメリカのブームが日本にそのまま来ることはしばらく無いでしょうが、日本酒の酒蔵などが日本でもミードを作り始めており、国内製造の美味しいものも出始めました。

そもそもなぜ日本にはミードがなかったのか?というのはあまりはっきりしません。日本固有種のミツバチでは養蜂しても取れる量が非常に少なく、もともと蜂蜜自体が非常に貴重な品であり、それを大量に使って酒を作るという発想自体ができなかったのではないでしょうか。(※私の個人的推測です。)

ハネムーンの語源

ゲルマン人の習慣として、新婚の夫婦は新婦がミードを作って滋養強壮の薬とし、それを1ヶ月間飲むというものがありました。これがHoney(蜜)+Moon(月)でハネムーンになりました。
これは、蜂蜜自体が古来より滋養強壮薬として珍重されてきたことの他、蜂は多産(=一族繁栄)の象徴とされていたことも関連するのでしょう。

もっとも、ハネムーンの語源には別の説もあり、こういった語源の説明には必ず付く「語源には諸説あります」という注意書きはここに付記させていただきます(笑)